なおなおのクトゥルフ神話TRPG

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【第15回】短編小説の集い 投稿作品短評

今回のテーマは「過去」でした。

「過去というテーマは割と扱いやすいかなと思っていましたが、皆さん忙しかったのか、あるいは書きにくかったのか、今回の作品数は少なめでした。

まあ、期間が10日なので、毎月出すのは難しいとは思いますけど。実際、自分もあと何回連続で書けるかわからないくらいネタ切れしそうですし。

 でも、雑誌に連載している漫画家さんとかのことを考えたら、ここで挫折しているわけにもいかないわけです。プロではないですけど、アマチュアだからってプロに負けていい理由にはならないですし、気持ちまでプロに負けてるわけにはいかないですからね!

 

というわけで今回の短評です。

未来は現在を過去にする。とはよく言ったものですが、このお話はまさにそれですね。未来に飛ばされた人間が現在を回想する。テーマとしても実に興味深いところですし、このアイデアも構想としてはありましたが、ここまで上手にまとまっているのを読むとなるほどと驚くばかりです。

現在と未来、未来においては過去と現在を繋ぐのがおせち料理ということで、前回のテーマとして出してもいいくらいですね。それくらいおせち料理について、細かく記述されていて、実家のおせち料理を思い出しました。

 

キャバクラ店の派閥争いをテーマにしたお話のようで、登場人物がかなり多かったため、最初の方は話の流れを掴むのに苦労しましたが、最後まで読んでから全体を見返すと、なるほどな、と思う部分が多かったですね。

もっとも、話の流れが掴みにくいと感じた理由が、自分がケイが最初は男だと勘違いしていて、それが探偵役のセリフとシンクロして妙な確信をしてしまったというのが原因ですね。

最後まで読んで全て整理がついた後は、なるほど、そうだったのか!という驚きが大きかったですね。

ちなみにタイトルに使われている「private eye」は確か探偵の隠語?だったので、どういう話かなぁと興味を引きました。

12/5追記:店はロックカフェでした。普通に書かれていたのを見落としていたようです。おそらく馴染みがないキーワードだったので、見落としてしまっていたのかもしれません。

 

作家になって編集者と話した会話が過去の編集者である自分と作家との間で交わしたものと同じという奇妙な数奇を扱ったように見えながら、売るための本と文学としての本の違い、そこに見え隠れするプライドなんかも興味深いです。

しかし、本当に面白くなるのは後半の編集者だった後輩が一気に突き抜けてしまうところです。ここで作家はおそらく自分も大衆に迎合しなければよかったとか思っているんじゃないかなという想像が掻き立てられます。

そして、最後の一言はとてもシュールですね。編集者の時にお世話になったと言いつつ、喜びを伝える対象に入っていないというところは、彼にとっても作家の人は過去の人になったというようにも取れて、とても面白い読み方ができるなと感じました。