【第20回】短編小説の集い短評
今回は思ったよりも作品が少なかったです。
いつも寄稿させていただいている、こちらの企画ですが、今回は思ったより作品が少なかったですね。期間が長かったので、もう少し多いかと思っていましたが。
短評を書く上では楽といえば楽ですが、今回は書きにくい題材だったのかもしれないですね。
というわけで、早速短評を書いていきたいと思います。
ちなみに、自分の振り返りは、また別の記事で書きます。
今回は、今までと違った趣の作品なように感じましたが、やはり書き口はいつもの通りで安心感はありました。
職場の人間関係的な話と、男女の関係についての心理描写が細かい部分はさすがだなと感じます。特に、こう言った職場の人間関係や男女関係の部分は自分にとって一番書くのが苦手な部分であったりするので、今回だけに限った話ではありませんが、こういう感じにさらっとまとめているのをみると、純粋にすごいと感じました。
気になった部分をあえてあげるとすれば、会話かなと思います。具体的には、主人公とクラタとの会話がやや区別つけにくいかなという気がしました。その一方で、主人公とサチエの会話は区別つきにくいと感じなかったことを考えると、同性同士の会話におけるキャラ付けが弱いのかな?という気がします。
もし、自分が書くとするなら、主人公は田舎生まれという設定にして、多少方言が残っている感じにしてしまうかもしれません。この理由としては主人公の性格が短気で熱い性格に感じ、一方、クラタの方は素っ気なくて冷たい性格だと感じたためです。
非常に異色な作品ですが、シンプルで判りやすいお話だと思いました。話の雰囲気が三谷幸喜っぽいなという感じを抱きました。もっとも、そんなに話を読んだわけではありませんが。
結果の意外性という意味では、ミステリーとして考えても秀逸な気がします。まさか、真相がこれだったとは途中まで、全く気づかなかったですし・・・。
時間がない中で、即興でこれを書いたということを踏まえると、かなり慣れていると感じました。
ただ、やはり位置関係の描写が、混乱しやすくしているのかもと思いました。
「彼女が汚されてしまった時」に彼は「後ろから彼女を見ていた」はずなのに、次の文章では彼女が「彼の後を追った」となっていたり、彼女が「彼に追いつくことはなかった」という部分も真相を知ってなお、違和感を感じた部分でもありますね。
とはいえ、そこの部分以外は非常に読みやすく、引き込みやすく、納得させる作品だと思います。