その1の続きです。
まだ半分ですが、書いていきます。
先の作品もカマキリが出てきましたが、奇しくもこちらもカマキリが題材です。特徴的ではありますが、季節的に虫というテーマで秋の虫のイメージしか出てこなかった自分にとっては、意外に感じる要素も十分でした。
もっとも、このカマキリはあくまで例えで男女の話がメインだったわけですが、私の場合、こういった文章を書くのがが苦手で、なかなか着想として出てこないので、そういった意味では非常に参考にしたい部分でもあります。
ただ、自分が書いてしまうと、とても安っぽくなるんだろうな、なんて思いますね。
短めの作品なためか、さらっと読むことができました。読んだ感じは具体的なようで抽象的な詩のような作品という印象を抱きました。
ただ、抽象的なためか、各場面にもう少し言及があると良いかなという気がします。この辺は主観的なものなので、これが正しいというつもりは毛頭ありませんが、沈黙を表現する前には少し間を置くような、会話が途切れた理由のようなものがあると、沈黙という場面に入りやすいのかなと感じました。
と言いつつも、非常にテンポのいい文章に感じました。自分の文章、特に最近のもの、は自分で読んでいてテンポが良くないように感じていたので、こういった所は参考にしたいなと感じます。
300字という非常に短文なお話しでした。読む分には苦労しない作品ではあるものの、短いが故に話の流れに若干の唐突さを感じました。
そう感じるのは、おそらく主人公の男がほとんど傍観者であるためなのかなと思います。例えば鶴女房であれば、主人公の男は冒頭で鶴を助けたわけで、それが後の伏線になっているというのがあります。
逆に言えば、そういった伏線のようなものが一つでもあれば、作品としては化ける可能性もあるのかなと感じます。
人の生死についてのお話しですが、場面が寺社仏閣であったり、しゃべる犬や虫のせいもあり、落ち着いているけど不思議な世界なお話しです。
確かに、虫や動物のひたすらに生きる、そして死ぬというあり方は非常にわかりやすいものであり、一方、人の生き死には非常に多くのしがらみがあります。
ここでは多くは語っていませんが、この対比こそが、読者に問いかける問いなのかなと感じました。
作者コメントでは煮詰めが甘いと書かれていますが、かなり良く書き込まれていますし、描写にも不自然な点は無いように感じました。