今回は作品数は少な目です。
こちらの企画ですが、今回は自分のものを除いて4作品と少な目でした。このぐらいだと、短評も書くのが少し気楽なように思います。
それは置いておいて短評の方に行ってみたいと思います。
切ない恋の話ですが、二人がすれ違い、取り戻せなくなっていく場面はもどかしいものがあります。
別れてからも愛する人にとっての愛すべき妖怪を演じ続けようとする場面は痛々しくもあり、健気でもあります。
全体として、良くまとまっている文章で非常に読みやすかったです。
例え、だと考えれば、不自然な部分はありませんが、個人的にはお雪さんがもう少し、それっぽく振る舞ってみると面白いかなと感じました。
孤独な影の一生のお話しでしたが、随所になかなか深い洞察が含まれていて、色々と考えさせられるお話しでした。
人になって役に立ちたいと考える影と、影になって孤独でも生き続けたい人の結末はあっさりとしたものですが、役に立ちたいという意味を考える必要性を示唆していることを考えると、現代のサービス残業などの問題にもつながる話だなと感じました。
案山子を中心とした人と神のお話しです。人の人らしさが話の中で滑稽に描かれている部分は、これまでの作品にもあった、「人」とその性、それと同じものが根底にあるなと感じられました。
さらに、人との関わりの少ない案山子の超然さと八咫烏や木花咲耶姫の神でありながら、若干の人っぽさを持っている存在の対比も作品に独特の味わいを持たせているなと感じました。
鹿を捌く過程を詳細に描いている点も独特な感じはありますが、ここを削って、最後の部分に山神と八咫烏の掛け合いがあっても良いかなとは感じました。
火星を開拓する一団の顛末を描いた作品です。結末はかなり悲惨な感じで、ややもどかしい感じを受けました。
短編の文字数で考えると難しいのかもしれませんが、多少の伏線や後日談のようなものがあった方が多少なりともすっきりするのかなと感じました。
例えば、この結末を示唆するような人物が現れたり、結末を知った妹が兄の元に行ったりする部分、特に後者は作者談にもあるように湿っぽくなってしまいますが、そこは描き方かなという気もします。
例えば、犠牲となった代償として名誉が与えられたとか、ですね。
と言いつつも、このもやっとした感じの終わり方で、その先を読者の想像に任せるというのも、一つのやり方かなとは思います。