クトゥルフ神話とは関係なかった
一応、このブログ上で小説として公開する以上、そんなはずあるわけないじゃないですか。っていうことで、クトゥルフ神話を知っている人から見た際の補足的な内容になります。
前回は深海の生物がクトゥルフ神話をモチーフにした生き物だったというのはなんとなく想像がついたかと思いますが、今回は明示していませんのでわかりにくかったかなと。
基本は普通に読んでもらえれば良いかと思うので、完全な蛇足ではありますが、クトゥルフ神話的な要素が全くないじゃん。という方は実は・・・という内容が書かれています。ただしネタバレにもなりますので、普通に読んで楽しめた方は読まないほうが良いかもしれません。
クトゥルフ神話的補足
部長の存在
部長は外見はあまり良くないものの、割と面倒見はよく、部下からも慕われていました。彼を嫌っていたのは神坂だけでしたが、それは彼の正体を見てしまったことによるものです。
実は彼は屍食鬼(グール)と呼ばれる存在ですが、生きている人間を襲うことはありません。しかし、死体を提供してもらっては、それを食べたりしていました。
神坂は、彼がその死体を食べている姿を目撃してしまいます。もちろん、彼女には彼のそんな事情など知るはずもなく、普通に人を襲って食べていたと誤解してしまいます。
神坂の発狂
当然ながら、このことを誰かに話してしまえば、次に食べられるのは自分だ、と思っていた神坂は誰にも話すこともできず、それでいて、毎日部長と顔をあわせるわけですから、徐々に精神に以上を来していってもおかしくありません。
それが祟って、ついには目にする人すべてが人を食べているのではないかと考えるようになってしまいました。それが対人恐怖症の正体です。
乾の発狂
神坂の辞表を受け取ったのは、当時神坂の家に時々通っていた乾でした。神坂を敬愛していた乾は彼女を辞めさせるまでに追い込んだ会社を恨んでいました。そして、その原因を追及したところ、部長であることが判明しました。
乾は部長について、ありとあらゆる事柄を調べ上げ、彼が実は人間でないこと、そして、時々死体を食べていることなどを知りました。彼女は神坂の復讐を果たすため、部長に対して事実を公表し、社会的に抹殺すると脅迫しました。
もとより、部長は特異ではあるものの、社会になるべく迷惑をかけないようにひっそりと生きてきたため、彼女の脅迫に抗うことはしませんでした。彼女の目的を聞くと、すぐに自ら会社を退職しました。
最終的に
神坂は対人恐怖症は完治していません。単に乾に関係する人物であれば、大丈夫だと考えるようになっただけです。そのため、乾に対して過剰に依存する状態になっている、いわば共依存の状態になっています。
一方、乾も神坂に対して依存するだけでなく、過度な愛情を抱いています。そんな二人が単なる上司部下や友人の関係で収まるとは考え難いでしょう。
その先は想像にお任せしますが、狂気に囚われた二人の失楽園というところでしょうか・・・。