短評を書いてみました
と言っても、文章力ないので、よく分からない短評になってしまうかもというのはありますが、そこは諦めて見てもらえればと。
若干ネタばれ的なものもありますので、先に一通り読んでから見ていただいたくようにしてください。
旬はずれ【第13回短編小説の集い参加作】 - nerumae
体面的なものを気にして想いを我慢する定一と、体面を捨ててでも想い人と一緒になりたいと思う小夜子の対比がとてもよく描写されていて面白かったですが、それ以上に体を張ってまで想いを通そうとする小夜子がとても魅力的に書かれていました。
ここからは推測になりますが、小夜子が定一を自分の父と重ね合わせていたということからも、彼女の父親も同じようにして想い人を諦めた過去があったのではないかと想います。それを踏まえると最後の締めも納得いく感じです。
水槽の中の魚の描写がかなり写実的でありながら、物語全体は叙述的に進んで行くお話でした。父親の入院、薄情な家族の対応、泳ぐフルブラックリボンといった中心部分に関しては事細かに描かれていながら、それ以外はぼかした表現、しかしながら、そこは想像の余地として残しておくという書き方は素晴らしいと思いました。
とはいえ、ぼかして描かれている部分は後から見返すと、想像で補っていたとわかって驚きました。自分は余計なものも細かく書こうとしてしまう傾向があるため、この描き方は参考したいところです。
魚とキリスト教の関係は全く知らなかったため、その裏の背景などは全くわからない状態で読みましたが、途中までの流れはわりとスッキリ読むことができました。
ただ何回か読んでも、最後の方の文章が意味がわかりませんでした。一つは誤報だったのにノックされたドアの意味、もう一つが大学生でないのに、明日、大学に行くことはないと言っているところです。推測で言えば、胡蝶の夢のように人の夢を見た魚なのかもという気もしますが、恐らくは読者の推測に任せる部分にしてあると考えると、モヤっとしつつも色々と想像を巡らしてしまいます。
三角関係の行方を扱ったお話ですが、他の方の短評も参考にした結果、確かに恋愛よりも友人関係が主人公的には勝っているのかもしれません。近い位置にいる異性という意味で恋愛感情は意識には上がっているものの、本当の意味での恋愛までに昇華しきっていないのかなと考えると「深いな」と感じました。
話自体は素直で読みやすく、単純な時系列で話が進んでいくので、読んでいて混乱は少なく、純粋に話を楽しみやすいかなと。
「リ・インカーネイション」(第13回短編小説の集い参加作) - 空想少年通信
前世の記憶を持ったまま金魚に転生した男の話ですが、何もできないはずの金魚が前世の恋人を救うために行動する様は、端から見たイメージでは金魚がぴょんぴょん跳ねているというシュールな光景ではあるものの、それが結果として彼女を救うことにつながり、金魚に男の面影を見るようになったというのは、いわゆるバタフライエフェクトということでもあり、行動はちっぽけであっても、それが大きな変化をもたらすことがあるということを示唆しているようで、とても興味深いところです。
瞳に泳ぐ、魚はキミの……(第13回 短編小説の集い) - ときまき!
最初にユキに殺されるタカシという謎を投げかけて始まる話でしたが、最後まで読んだ時にモチーフが人魚姫だったことがわかり、なるほど、と思いました。
改めて上手い伏線の張り方の参考になるお話でもあり、今回の自分の投稿に欠けていた視点の一つとして、次回以降の参考にさせてもらおうと思いました。
世界観はファンタジーであるものの、話の構成はミステリーの形式を取っていて、そういった意味でも参考にしたいと考える作品でした。
鯛の活造り(【第13回】短編小説の集い) - いつかのことです。
鯛が人の言葉を話すという奇妙な光景の結末が鯛の活け造りというシュールなものですが、ポイントは人間関係の崩壊から逃げた自分を魚に投影しているところかな。と言いつつも、魚は魚で代わり映えのない日常というものから逃げたと見立てて、自分の心を整理していく過程を描いているように感じました。
ただ、もう一つ最後の活け造りが逃げた自分の結末を暗示しているようで、その点に関しては、ホラー的な要素もあるのかなと感じました。
海のそこ(第13回短編小説の集い) - しわしわのウェルテル
言葉の一つ一つが詩のようになっている話でした。一つ一つはシンプルで短い言葉の連続ですが、それが一つに集まった時に一つの場面を形作る。そういった気持ちよさの感じる話でした。同じでありながら住む世界の違う二人の行き違いを普通の魚と深海魚でたとえている部分がとても興味深かったですね。
憧れつつも、自分がその世界に入ることのできない現実は若干の切なさも感じました。
「第十三回 短編小説の集い」に参加します。「サメ」です。 - 池波正太郎をめざして
魚の出てこない魚をテーマにした小説という意味では興味深い作品だと思います。
「サメ」と呼ばれる男がなぜサメと呼ばれるのかというところは、実のところはあまり深く語られていないように思いました。あくまでライオンからの類推になるのかな、という感じですね。
描写的には細く場面はイメージしやすいのですが、どうしても前後関係を補完することができず、自分はやっぱり左脳で考えることが多いのかな、と思います。
やはり、行間を読ませるというところは、うまく自分のものにしたいところです。
のべらっくす【第13回】短編小説の集い 『うつくしい魚』 - ファンタジー頭へようこそ!
こちらは人魚でも八百比丘尼の伝承をモチーフにした作品ですね。と言いつつも、人魚姫の人と人魚との恋を裏側に出しつつも、人魚の肉を喰らうという残酷な話を表に持ってきて、残酷な話としてまとめているように見えます。ただ、稚魚に関しては、実は殺しておらず、ここにおばあさんの良心といったものが現れているようにも見えました。
コンソメスープの海 ~短編小説の集い宣伝~ - 泡沫サティスファクション
魚の故郷の海、その比喩としてあげられるコンソメスープ、しかしこのコンソメスープは比喩でなく現実として存在しているもののようです。当然、魚もそのままでは生きていけないようで品種改良されていますが、その品種改良のされ方も科学技術の進歩、クジラは機械工学で、古代魚やクラゲは遺伝子学になりますが、を暗に示しているようで興味深いです。